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居酒屋開業資金の借り入れについて

さて、資金計画の最後、④の返済計画について触れていこうと思います・・・。
が、その前に大事な事がありました。
返済とは「返す」こと、当然その前には「借りる」という行動が発生します。
というわけで、今回は「資金の借り入れ」についてを掘り下げていく事にします。
お付き合いよろしくお願い致します。

 


 

■資金の調達方法

 

開業資金の全額をご自身で準備できればいいですが、殆どの方は、それははっきりいって無理に等しいと思います。なにせ額が額です。数百万〜数千万円をポンとキャッシュでは払えません。

 

であれば、やはり何らかの方法で足りない資金を調達する以外、術はないと思います。

考えられる資金の調達方法として・・・

 

①金融機関から借りる

 

②家族・知人から借りる

 

③自治体の融資制度や助成金を利用する

 

あたりでしょうか。他にもベンチャーキャピタルなども考えられますが、個人の居酒屋開業にはちょっと現実的ではないかも知れませんので、ここでは省略します。

まず、①の金融機関から借りる、これが一般的でしょう。ひとえに金融機関といっても、

 

●銀行やノンバンクなどの民間の金融機関

 

●日本政策金融公庫などの政府系金融機関

 

などが挙げられます。

借入先と言えば、思いつくのはまず「銀行」だと思いますが、ここでは「銀行は最後の手段」という扱いにさせて頂きます。

なぜかと言うと、新規開業者が銀行などの金融機関の窓口に相談に行っても、なかなか思った様には相手にしてもらえない事も多いからです。次のような理由がそれに当たります。

 

●お店としての実績がないので融資した資金の回収のメドが立てにくい。

 

●自営業として、銀行との取引の実績がないので信用の蓄積がない。

 

●担保などがない、あるいは不足。

 

どうしても銀行は未実績の新規開業者はハードルが高いようです。だからと言ってノンバンク系の金融機関から借り入れを行えば、融資の融通は利いたとしても、銀行より更に高金利のため返済が苦しくなります。

そこで、開業時に一番頼りになるのが、

日本政策金融公庫(旧:国民生活金融公庫)です。

 

●日本政策金融公庫とは


日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、開業のための資金を貸してくれます。
公庫の目的が、一般の金融機関から融資を受けるのが難しい事業者に資金を供給することにあるので、 民間の金融機関ではお金を借りられないような新規開業者でも、比較的低金利(およそ2〜3%)で融資をしてくれます。営利目的の企業ではないので低金利なのです。


また、民間の金融公庫と違って、実績がない会社であっても融資を受けてくれます。


日本政策金融公庫は、これから開業するお店や人の「将来性」「人間性」「やる気や熱意」によって資金を融通してくれる金融機関です。

 


 

■借り入れのためのポイント

 しかしながら、向こうもボランティアで融資している訳では有りません。日本政策金融公庫の審査に通るためにはやはり重要なポイントがあります。そこを抑えておきましょう。

①しっかりとした計画を立てる

公庫側からすれば、「貸したお金はちゃんと返してもらえるのか」が再重要ポイントです。
ですので、「こうしていけばきちんと返せますよ」という根拠を示す必要があります。
だからこそ、開業してきちんと返済できるという説得力のある計画を立てていなければなりません。
初めて開業する人が、パーフェクトな計画をだすのは非常に難しいと思います。いや、要求するのは酷な話です。

日本政策金融公庫では担当者の方が計画についても相談に乗ってくれます。
まず、融資について分からない事、どのような書類の準備が必要かを相談してみるのも良いでしょう。

 

②面接は「正直に・はっきりと・自信と熱意をもって」答える

申請に必要な書類を準備し、提出後、今度は面接があります。身だしなみ、言葉遣いはきちんとしましょう。
また、事業の計画の細部についても聞かれるでしょうから、ある程度のシミュレーションはしておく方が良いでしょう。
なんといっても相手も「プロ」です、今まで相当数の事業計画を見て来ている人たちです。居酒屋の開業においても様々な数字や基準をきちんと持っています。杜撰なコンセプトや計画では一蹴されてしまうでしょう。また、計画がきちんと伝わる内容であっても、開業する人が妙に自信がなさそうにボソボソ話したり、大風呂敷を広げてワーワー言ってもまた、信用はしてもらえないでしょう。
また、片手間でやるものではないのですから、「この事業を成功させて生活していく」といく熱意も伝わる様にしましょう。

こちら側が、開業する居酒屋についてしっかりとした計画を立て、かつ的確に説明が出来れば、公庫の担当者の方も「これなら事業としてやっていけるだろう。返済も問題なく行えるだろう」と判断してくれることでしょう。

そこまでくれば、晴れて居酒屋開業の資金を調達することができます。

 

③自己資金は30%~50%くらい用意しておく

ちなみに、開業の資金の100%を日本政策金融公庫から借りる事はできません。
30~50%は、自己資金を用意するのが原則です。借入金で全てを賄えませんのでご注意下さい。
更に言えば、日本政策金融公庫が融資してくれる額の上限は「自己資金額の2倍」くらいまでだそうです。
まずは開業に必要な総額の40%以上を目標に、貯蓄を行っておいた方が良いでしょう。

自己資金の額は多い程良いのは間違いないのですが、さらに「そのお金はどうやって貯めたのか」まで通帳から調べます。例えば、知人の現金を一旦自分の銀行口座に入れて、審査が終わったら引き出して返す様な「見せ金」で無いかどうかを調べます。
面接の直前にいきなり数百万円振り込まれているよりは、給料から毎月コツコツ貯めている方が印象が良くなります。「真面目にコツコツ努力できる人」と評価されます。 通帳から、その人の性格や計画性をある程度判断するのです。

 

④借りるなら開業前に借りる!

最初から開業資金が不足している場合には、開業前から融資を前提にした資金繰りをしなければいけないので考えるまでもありません。
仮に、全額自己資金により開業が出来たとします。オープン後、売上が好調な場合は問題ありませんが、計画通りに売上が上がらない、という時に、「これじゃヤバいな。借り入れするか!」と慌てて融資を申し込んでも、残念ながら遅いのです。売上げが右肩下がりになっている状況で融資を申し込まれても、公庫側は「それは大変ですね、では資金をお貸ししましょう」とは言わないのです。それはそうです。「返済できる可能性が低い」ことを証明している様なものですので。逆にまだ黒字になるか赤字になるのか分からない開業前に借りるのが一番良いタイミングなのです。

なぜなら、開業前に提出する書類は「売上収支予測」にしろ「資金繰り表」にしろ黒字予測だからです。(当たり前ですが、赤字の計画では絶対に融資は下りません)開業時の計画書類上は「売上は右肩上がりになる!」のです。

また、開業当初は自己資金でやりくりできそうな場合でも、その後に想定外の出費が必要になる場合も多々あります。ですから多少の金利を払うリスクはありますが、日本政策金融公庫から融資を開業前に受けて、余裕を持たせた事業運営をするのも良いかと思います。

 

⑤やっぱりダメな場合もあるけど・・・

入念に書類を準備をし、面接もきちんと行ったからといって、残念ながら100%融資が下りるとは限りません。

しかし、ダメだった場合でも再チャレンジは可能です。不足していた点を改善した上で、もう一度融資を申し込むことは出来ます。ただし、さすがに「また来週」とは行かないので、再申請までの期間は、最低でも半年程度空けた方が良いでしょう。

 


 

いかがでしょうか。日本政策金融公庫は開業時の経営者にとって、強い味方になってくれます。ただし、借り入れにはここで説明した以外にも、さまざまな条件などが必要になります。一度、日本政策金融公庫の窓口に行って確認・相談をされることをお勧めします。

思ったより長くなってしまいましたので、今回はここまで。続きはまた次回にしたいと思います。